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ECHA、エンフォースメントフォーラムが輸入品中心のプロジェクトを承認

REACHエンフォースメントプロジェクトは、REACH施行初期から施行状態の確認を主眼とし査察も含む調査を行ってきましたが、罰則を中心とするものではないことを標榜してあくまでも調査プロジェクト的な姿勢を崩さずに来た面もあったと思います。

今回のプロジェクトは輸入品を中心に税関の協力も得て強力に調査をすることを表明したものになっており、最近行われたパイロット調査で23 %の違反がみつかったことが相当ショッキングだったようにも伺えます。

日本の輸出企業にあってREACH規則対応体制が実質的な後退をみせつつある昨今、このニュースが気がかりになるのは否めません。

Next EU-wide REACH enforcement project to focus on imported products

https://echa.europa.eu/-/next-eu-wide-reach-enforcement-project-to-focus-on-imported-products

”名前”へのこだわり

REACHの「認可対象候補物質」の意味で「SVHC」と巷で広く言われている。「SVHC」と呼ぶのは四字熟語的で悪魔的な使いやすさがあり、ヨーロッパだってこう呼んでいることも多いです。

正確には、「SVHCの性状を持つ化学物質の中から選定され認可対象候補物質してリストに収載したもの」ということになります。”Candidate List Substance”であってCL物質とかCLSとか、一部で呼ばれています。この方が正確なので今後規定が変わったときのことも考えて、「CL物質」を使いたいと思っています。

「SVHCの性状」とはCMR、PBT、vPvBと内分泌かく乱物質の性状をもつ物質のことで”Substance of Very High Concern”の略号です。日本語だと高懸念物質となります。前職で本社があるドイツに出張したときに「懸念はあるけど有害性が必ずあるとは決めつけられない、要するに”灰色”っていうことだ。有害なら有害って言うさ」と言われたことがあります。REACHは公布されたけど施行直前ぐらいの時だったかなと思う。

予備登録

とっくに終わった予備登録で忘れ去っていいのかな、と思っていたらそうでもないらしい。

2018年に既存化学物質(段階的登録物質)の登録期限がきて、セミナー資料にいつまでも該当ページ残しておいてもしょうがないからと削除しようと考えていたら、予備登録に関連するご質問をいただいた。

どうやら、今のREACHを理解するためにも、予備登録という手続きがあってSIEFを形成してデータを共有し 既存化学物質(段階的登録物質) を「登録」したという経緯があったことは、これから既存化学物質(段階的登録物質)を登録しようとするとその理解が必要になると聞いて、なるほどと思いました。

「SIEFの存続」「データシェア」「12年ルール」はこれからもキーワードになりそうだ。

ナントカREACH

ナントカREACHと呼ばれる規則が相次いで制定されて、といっても2015年以降になるが台湾REACHとか韓国REACHができた。おかげで本家?のREACHもEU REACHと書かないと何となく落ち着かなくなった。

どういう仕組みを持っていればREACHと呼ぶことができるのかきちんと定義されているわけではないけれど、以下の4点がメインでしょうか。

  • 予防原則の尊重
  • リスク管理ベースの管理体系
  • 利害関係者を主とした既存化学物質のリスクアセスメント実施
  • 成形品が適用範囲

既存化学物質のリスクアセスメント実施を義務化には、「登録」いう名前をつけています。

上から3点目までは台湾も韓国もこれにはあてはまるけれど、成形品に関しては台湾は緩やかだし韓国は他の法律(K-BPR)にこの部分はほとんど引っ越しした。EU REACHにあっても「成形品そのものを化学物質とみなしてリスク管理する」という観点で見るとすれば、検証段階的な施策だと思います。

要するにSVHCの性状を持つ化学物質を指定して(CL物質)、要件に合致すれば届出義務を課すといったことで、届出内容からは成形品に対する使用用途の収集が目的とみなせると考えてます。その先のプロセスとされている「認可」は指定物質を使用したり成形品に組み込むときに適用されていて、成形品そのものに存在することを対象とするわけではありませんし。