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化学物質管理誌 質問箱連載 2020年8月号~2021年9月号 別刷り出来

情報機構社「化学物質管理」誌に小生が連載している「質問箱」ですが、2020年8月号~2021年9月号 (SDSとその周辺)の記事別刷りが出来しました。

「質問箱」という題名ですが、期間を区切ってある程度テーマを設定しており、今回の別刷りはテーマとしていた「 SDSとその周辺 」でまとめています。そのため別刷りは14号分を含んでいます。

ご希望いただければ無償でお分けします。

「化学物質管理」誌 創刊以来の「質問箱」別刷り(2016年8月号~2020年7月号)も若干部数ありますのでこちらもご希望の方はその旨、記載してください。

弊社「お問合せ」ページからご連絡下さい。郵送先住所、電話番号は必要になります。

https://www.chem-support.org/inquiry/jform.php

PCN届出

CLP規則45条によるポイズンセンターの届出サービスをご提供しています。

ポイズンセンターにあらかじめ危険有害性や救急措置を届出しておきます。この届出にひも付けできるコード番号を製品容器に表示しておき、緊急時にはこのコード番号からポイズンセンターにアクセスして必要な情報を得る仕組みです。

詳しくは、https://www.chem-support.org/?p=297からお願いします。

”名前”へのこだわり

REACHの「認可対象候補物質」の意味で「SVHC」と巷で広く言われている。「SVHC」と呼ぶのは四字熟語的で悪魔的な使いやすさがあり、ヨーロッパだってこう呼んでいることも多いです。

正確には、「SVHCの性状を持つ化学物質の中から選定され認可対象候補物質してリストに収載したもの」ということになります。”Candidate List Substance”であってCL物質とかCLSとか、一部で呼ばれています。この方が正確なので今後規定が変わったときのことも考えて、「CL物質」を使いたいと思っています。

「SVHCの性状」とはCMR、PBT、vPvBと内分泌かく乱物質の性状をもつ物質のことで”Substance of Very High Concern”の略号です。日本語だと高懸念物質となります。前職で本社があるドイツに出張したときに「懸念はあるけど有害性が必ずあるとは決めつけられない、要するに”灰色”っていうことだ。有害なら有害って言うさ」と言われたことがあります。REACHは公布されたけど施行直前ぐらいの時だったかなと思う。

予備登録

とっくに終わった予備登録で忘れ去っていいのかな、と思っていたらそうでもないらしい。

2018年に既存化学物質(段階的登録物質)の登録期限がきて、セミナー資料にいつまでも該当ページ残しておいてもしょうがないからと削除しようと考えていたら、予備登録に関連するご質問をいただいた。

どうやら、今のREACHを理解するためにも、予備登録という手続きがあってSIEFを形成してデータを共有し 既存化学物質(段階的登録物質) を「登録」したという経緯があったことは、これから既存化学物質(段階的登録物質)を登録しようとするとその理解が必要になると聞いて、なるほどと思いました。

「SIEFの存続」「データシェア」「12年ルール」はこれからもキーワードになりそうだ。

毒性のないものはない

毒性というか危険有害性のない化学物質はない。SDSに書くときGHSで分類されないものが毒性がないと思われて、取り扱いもそのようにしてしまうこともあるようですが、データがなくてわからないだけなんです。そしてデータがない時にそれを取得することは、国連文書にも規定されてはいません。

そういうわけなので、ピクトグラムがなくても、それは安全の証ではなくて、毒があるかどうかわからないだけなんだ、ということになります。

化学メーカーだとそもそもが作業場や実験室には安全メガネしないと入れない、取り扱う時はグローブして、できれば局排(局所排気装置)に陣取りたい。こういう対策していても、私は実験しなくなったら吹き出物がなくなった。パラケラススの言っているのは観念上のことではなくて目の前の現物の話です。

業種によっては「化学物質」を使っていてもそれと意識して取り扱いしていないところもあるっていえばあるかもしれません。使ってるものを「化学物質」とおもわなければ、それに伴うリスクも意識しないことになります。いわば入口を間違えてしまう、ということでしょうか。

学生の頃に読み合わせした化学同人の安全の本(赤本と青本と呼んでいた)に実験台の上に置いてあったアセトニトリルの入っていたビーカーを入ってきた工事人の方が、水だと思って飲み干して亡くなるという悲惨な事故の記述を思い出しました。

ナントカREACH

ナントカREACHと呼ばれる規則が相次いで制定されて、といっても2015年以降になるが台湾REACHとか韓国REACHができた。おかげで本家?のREACHもEU REACHと書かないと何となく落ち着かなくなった。

どういう仕組みを持っていればREACHと呼ぶことができるのかきちんと定義されているわけではないけれど、以下の4点がメインでしょうか。

  • 予防原則の尊重
  • リスク管理ベースの管理体系
  • 利害関係者を主とした既存化学物質のリスクアセスメント実施
  • 成形品が適用範囲

既存化学物質のリスクアセスメント実施を義務化には、「登録」いう名前をつけています。

上から3点目までは台湾も韓国もこれにはあてはまるけれど、成形品に関しては台湾は緩やかだし韓国は他の法律(K-BPR)にこの部分はほとんど引っ越しした。EU REACHにあっても「成形品そのものを化学物質とみなしてリスク管理する」という観点で見るとすれば、検証段階的な施策だと思います。

要するにSVHCの性状を持つ化学物質を指定して(CL物質)、要件に合致すれば届出義務を課すといったことで、届出内容からは成形品に対する使用用途の収集が目的とみなせると考えてます。その先のプロセスとされている「認可」は指定物質を使用したり成形品に組み込むときに適用されていて、成形品そのものに存在することを対象とするわけではありませんし。

はじまり

独立してこのビジネスを始めたときに基となったのはREACHですが、その施行からはもう10年以上前になりました。そのREACHもまもなく、といっても数年はかかるでしょうけどリニューアルが始まろうとしています。

法人化してからほとんどやめていたブログをひっそりと再開して、ここには化学物質管理やその他よもやまなことなど書いていこうかなと思います。